アサヒビールおよびグリコの工場見学を実施しました

井上ゼミでは食品・飲料関係企業によるブランド構築と製品開発について学んでいます。その一環として、3回生はアサヒビール吹田工場、2回生はグリコピア神戸の見学を実施しました。

私たちは1980年代に全国シェア10%を下回るというどん底を経験したアサヒビールが現在のビール売り上げナンバーワンの位置をいかに獲得したのかということに大変興味を持ちました。アサヒビールの前身である大日本麦酒は戦前70%のシェアを持っていましたが、戦後、過度経済力集中排除法により現在のサッポロビールと二分割されました。分割直後は依然として36.1%のシェアをもっていた朝日麦酒でしたが、サッポロビールとともにその後キリンビールに急速にシェアを奪われたのです。
この状況を一変させたのが「アサヒスーパードライ」の開発でした。アサヒビールのキャッチコピーである「辛口・キレ・鮮度・DRY」は人々に広く浸透し、大物タレントを使ったイメージ広告ではなく、現役スポーツマンによる商品コンセプトの強調や、製造から3日以内に出荷し、お客様に届けるという商品管理の徹底が成功の要因であったことがわかりました。1991年から導入された「太鼓判システム」では手順通りの工程に沿って生産され、一定の基準の品質を確保したことを保証するために各部門の責任者が太鼓判を押して出荷しています。中でも一番印象深かったのは、人間の感覚器官を使って行う官能検査でした。さらにビールを作る工程で排出される麦芽の搾りかすなどの廃棄物は全て何らかの形で再利用され、ゴミゼロを実現するとともに、CO2排出量削減にも力を入れており、環境に配慮するアサヒビールの取組に感動しました。

グリコピアの見学では、誰もが良く知っている定番のお菓子であるポッキーとプリッツの製造工程をみることができました。原料の混合や成形から、仕上げ・包装までの生産ラインを全て見学することができました。今まで身近に感じてきたお菓子が工場の中で複雑に作られているのがよくわかりました。製造工程の見学だけではなく、グリコの歴史やチョコレートにまつわる様々な話、ビスケットやアイスクリームの作り方などもわかりやすく展示されており、子供から大人まで楽しみながら学べる施設となっています。

創業者の江崎利一氏は牡蠣に含まれる栄養素であるグリコーゲンと出会い、自然の恵みを子供たちの健康づくりに役立てたいとの願から栄養菓子「グリコ」を誕生させました。また、グリコのお菓子に入っているおまけのおもちゃは、子供たちにとって食べることと遊ぶことは二大天職であるという創業者の考えに基づいたものでした。現在のグリコグループは乳製品やファインケミカル素材の提供、乳幼児向け商品の提供など、幅広くグループ展開しており、さらにアメリカ、カナダ、フランス、タイ、韓国、中国へと海外展開しています。

今回の見学を通して、誰もが良く知っているブランドを維持しながらも、新製品の開発に積極的に取り組むとともに、安心安全な食品の提供、遊び心を持ったお菓子の提供に努力されている姿勢がグリコの強みであることがよくわかりました。