2015.7.24

キャリアゼミ 平山ゼミ&大村ゼミ&西口ゼミ「ジーンズの聖地 児島フィールド・リサーチ」編

キャリアゼミ 平山ゼミ&大村ゼミ&西口ゼミ「ジーンズの聖地 児島フィールド・リサーチ」編

 現在、ポール・スミスやアルマーニなど世界の有名高級ファッションブランドに加えて、国内セレクトショップBEAMSなど数多くの委託生産(OEM)を手掛けている岡山県倉敷市児島。歴史を紐解けば、江戸時代から綿花の生産地であった事実に加えて、この一帯はジャパン・ブルーを象徴する藍染による繊維産業の勃興とともに、明治時代以降は軍服を中心に産業が発展し、第二次世界大戦後は学生服の需要が伸び、1970年代前後からはそうした藍染技術や縫製方法の歴史的蓄積により急速にジーンズ生産に特化していくことになったのである。
 今回訪問する企業は、日本で初めて女性ジーンズを誕生させた、株式会社ベティスミス様の工場見学、ここでは生産から販売に至るすべての一連の流れを見ることになる。特に機械による生地の裁断やさまざまなミシンによる縫製技術の確かさ、糸やリベットの豊富さなど、比較的大規模な工場における労働集約的なパフォーマンスを目にすることになる。学問的には、Porter(1985)のいう「価値連鎖」によるマージン獲得へ向けた工程の確認と、現代の経営で求められる社会利益の実現において、どのように折り合いをつけているのか、またマーケティング的にはどのようなグローバル・マーケティング戦略、あるいはドメスティック戦略を採用しているのか、海外競合ブランドとの差別化をどのように企図し達成しているのか、われわれ、平山ゼミ&大村ゼミ&西口ゼミの関心はまさにそこにある。
 加えて、ジーンズ・ストリートにおける近年のジーンズ・ショップの集積はそのショップの佇まいを知ることで、その奥に隠されているブランド・コンセプトの深奥部分にもつながっているといえ、ショップの佇まいのデザイン性に着目した上で、それが実際に価値として表現されることになる、そのブランドのプライシングとの関わりを押さえることで、新たなブランド価値論を提起していくことになる。
 なお、本研究は阪南大学キャリアゼミ事業予算から支援を受けて活動している。記して御礼申し上げる。

フィールド・リサーチの狙い

    今回の訪問を通して、各ゼミ担当教員の狙いは次のとおりである。
フィールド・リサーチの狙い
平山ゼミ キャリアゼミの最終目標である、「大阪において必要とされるホテルのブランド価値とは何か」において、ホテル側に提案する内容として、外国人観光客の多くはmade in Japan のジーンズに大変関心があることから、ジーンズに関わるイベントの提案および実現可能性を探る意味で、今回のリサーチを企画した。
大村ゼミ キャリアゼミのテーマである、「SCにおける顧客満足と従業員満足の現状と新たな提案」において、顧客満足の部分を最大限拡張するために、新規提案としてジーンズを効果的に活用した企画のストーリーづくりに必要な学生の思考力の向上や彼らの感性をインスパイアするために行った。
西口ゼミ 初めてキャリアゼミに取り組むため、ジーンズ業界では最もホットな児島を学生とともにフィールドを探索することで見えてくる、街やショップのたたずまい、正面フロント入り口のデザイン性などを体感することで、研究テーマである「地元企業のブランド構築に貢献する広告デザインの実現を目指して」に近づけるよう、さまざまな角度から検討することを狙いとした。
【学習 計画】
(1)「株式会社ベティスミス」工場見学
(2)「ジーンズミュージアム」見学
(3)「ベティスミス アウトレット」製品調査
(4)「藍畑 藍染体験」
(5)「ジーンズ・ストリート」店舗調査

【学習 目標】
(1)ジーンズの生産から流通までの基本的な知識および技術の習得。
(2)その道のプロフェッショナルである工場長クラスの方から直接お話しを聞くことで、現場の知やブランド価値について学ぶ。
(3)ジャパン・ブルーと言われる藍色、実際に自然の藍を使う藍染を体験することで、インディゴ(化学染料)とは異なる価値について考える。
(4)ジーンズ・ストリートにおける店舗のたたずまいや各ショップのブランド・コンセプトについて知識の吸収を図る。

【受入先企業 説明担当者】
(1)株式会社ベティスミス 
   〒711-0906 岡山県倉敷市児島下の町5丁目2番70号
   TEL.086-473-4460
   FAX.086-473-2789
   常務取締役   西山 一二 氏
   取締役開発部長 大島 健吾 氏
   総務部次長   岡野 正樹 氏
(2)藍畑(あいばたけ)
   〒711-0913岡山県倉敷市児島味野1-12-10 
   TEL 086-473-3670
   藍染職人 三宅氏

平山ゼミ生の感想 -Betty Smith工場を見学して-

瀧田実加

 今回初めてBetty Smithの工場を見学させていただいて、私はいろいろなことにびっくりしました。私はジーンズを作るための工作機械など、見学をする前は全く想像することができませんでした。そして実際その機械を目にして、数多くのの工夫をしていることを知り、とても興味がわきました。その後も、縫製部門では、職人さんたちがミシンなどの機械を使い、ジーンズのパーツを縫い合わせるなど、さまざまな縫製技術でジーンズが完成するまでの一貫した流れがわかり、本当に感動するとともに、日本の縫製技術の奥深さを感じました
 ミシンも私たちの家にあるような普通のミシンを想像していたのですが、職人の皆さんは立って、ひざで押したり、足を使っての作業など、普通のミシンではありませんでした。特別な職人さんたちがそろっていることによって、特別なミシンなどを使いこなし、そしてやっとジーンズができるだと思いました。
 今回の訪問で、一番興味がわいたのは、自分だけのオリジナルのジーンズを作ってもらうことができる事に非常に興味がわきました。ジーンズは自分が気に入って買っても、そのジーンズは私以外の人もはいているのが当たり前で、たくさん同じものを売ることも当たり前なことです。でもそこで、Betty Smithでは、世界でひとつだけの自分オリジナルのものを作ることができる。それが非常にマーケティング的にもすばらしく、とても感動しました。今回の見学で作ることはできませんでしたが、また機会があれば絶対に自分オリジナルのジーンズを作りたいと思いました。
 Betty Smithは、誰もが知っている有名セレクトショップさんのジーンズを委託生産で作っていたりして、そのことは知らなかったので、驚きました。また今度そのショップにお買いものに行ったときには、必ずBetty Smithのジーンズを手にしたいと思いました。
 私は、今回見学させていただく前、Betty Smithの名前だけは知っていましたが、Betty Smithがどのようなジーンズを作っていて、どのような方法で作っているのか全くしりませんでした。そうした意味でも、今回の見学でこれまで見えなかった多くのことを知れて、本当に良い経験ができたと思っています。Betty Smithのみなさま、ジーンズのすばらしさを教えていただき、本当にありがとうございました。
のみなさま、ジーンズのすばらしさを教えていただき、本当にありがとうございました。

久山ももか

 7月8日、ベティスミスの工場見学をさせていただいて、全く知らなかったデニムの世界をとても堪能することができました。
 先に生地について少しお話を伺ってから、まず、製造過程についての見学をさせていただきました。裁断の機械は効率化をはかるための様々な機械を導入しており実際に機械を作動していただきました。無駄なく裁断するためのシステムや正確にするためのシステムに驚きました。
 そして一番感動したのが、何台ものミシンがある縫製部門のところです。作業をしているひとたちの中には海外から縫製技術を学びに来ている人たちが半分もいて、習得し終えれば、自国にその技術を持ち帰るとのことでした。これまで長い年月をかけて編み出してきた貴重な財産である縫製技術を出し惜しみすることなく、オープンに伝えているということを知り、ベティスミスのは社会貢献や国際化に対応した姿勢に、とても感銘を受けました。
 製造方法としては、すべて流れ作業でしている、と伺いました。例えば、ポケットの部分を作る人、ベルトの穴の部分を作る人、など分かれていて私には作業をしてる人たちが皆エキスパートに見えてきました。工程で使うミシンは、用途によって様々な種類を使っており、ある程度の年季がなければ、扱えないものがたくさんあるように感じました。
 次にジーンズ生地を利用した携帯用ストラップ作りの体験をさせていただきました。色や布の種類が豊富で選ぶのがとても楽しく、よいお土産になりました。ボタンを手動の機械で一人づつ順番に作業をしましたが、後に行ったミュージアムで、これが以前ボタン打ち機として使われていたものだと知り、一つひとつの手作り感のよさを思い起こしながら、あらためてよい体験をさせていただいたと感じることができました。
 ジーンズミュージアムでは、歴史やデニムの原料の種類を学ぶことができました。様々なイベントで使われたデニムの衣装や提携しているブランドの歴史など非常に充実しており、全て見ることができなかったと思うくらい、興味深いものが多く、深かったです。
 今回は授業の一環として、見学をさせていただきましたが、少ない時間の中で楽しみながら、自分自身の知識や技術が深まっていくことが体感できました。まだまだ見たいものがたくさんあるので、是非個人的にも行く機会をつくり、伺いたいです。
 ベティスミスのみなさま、お忙しいところ、わたしたち流通学部の学生のために、本当にいろいろとご指導いただき有難うございました!

苅部凌太郎

 ベティスミスの工場を見学して、最初にデニムの生地を裁断する機械が置いてあり、裁断された生地のすべりを良くする為に、エアーホッケーのように台の下から空気が出る工夫がしてあり驚きました。裁断された生地をジーンズのパーツごとに切る機械の精密さにも驚きました。その後手作業でジーンズのベルトループなど部分ごとに作業している工程を見学し、そのジーンズすくりの手作業の多さに、あらためて、驚くとともに、その事実の深さを知りました。ミシンは一般的なものより力が強く、扱うのが難しそうでした。大きな生地を機械と手作業で僕たちが履くジーンズになる工程を見学できて、とても勉強になりました。最後に、ジーンズミュージアムに行き貴重なミシンやそれぞれの時代のジーンズがきちんと年代ごとに整理され、並べられている姿を見学でき、貴重な体験となりました。有難うございました。

宮城孝充

 児島はジーンズの町として有名であることは知っていましたが実際に訪れるのは初めてでした。Betty Smithの工場近辺は至る所にマスコットキャラクターのベティちゃんの人形やイラストがあったのが印象的でした。Betty Smithの工場はとてもコンパクトな印象でしたが、周辺にはジーンズの歴史を学べるミュージアムや、ショップを兼ねたデニムのキーホルダーづくりが体験できる施設、Betty Smithによるアウトレットショップがありました。町には私たち以外にもプライベートで買い物に来ている人や、静岡からアパレルの仕事で来ている団体もありました。
 工場見学では染められる前の真っ白なデニム生地をトイレットペーパーのようにローリングされているのを見ました。想像以上に真っ白でした。デニムの色の強弱は表面を削ることでつけていることを知りました。生地をカッティングするマシーンがとてもハイテクであったり、縫製作業は段階ごとに役割を決められており、特殊なミシンを使って手作業で行われていることを知りました。流れ作業で同じことを繰り返しているみたいなので慣れてしまうと気が緩みそうだと思いましたが、実際に縫製作業で手をミシンに巻き込まれて負傷する事故があったことも聞き、縫製作業工程の大変さを痛感しました。
 今回の見学でジーンズには時代によってスタイルが変わっていること、真っ白な生地からもつくられているということなど、普段から当たり前のようにはいているジーンズの見方が少し変わった気がします。貴重な体験ができました。ベティスミスのみなさま、有難うございました!

大村ゼミ生の感想 -児島ジーンズを訪ねて-

中村千聖

 7月8日(水)岡山のベティスミスのジーンズ工場を見学させていただきました。初めにストラップづくりを体験させていただきました。ボタンを装着するための機械は初めて使用させていただきました。思ったより力が必要で、デニム生地がとてもしっかりした生地だということを目の当たりにしました。そのあとに見学させていただいた工房ではCADを使用しての生地のカッティングを実際に行っている場面に遭遇しました。CADはどういった機械なのかというものは学んだことはありましたが、実際に作動しているところは見たことがなかったのでとてもいい経験になりました。生地のカットは一枚ずつではなく何十枚も重ねてカットできるということでした。またデニムの歴史館では過去に流行したワイドデニムパンツやカラーパンツまた、レーヨンデニムなどが展示されており現代もリバイバルとしてワイドパンツが流行しておりファッションの流行の流れを学ぶことができました。100以上年前に作られたデニムパンツは労働者のために作られたものでありデニムは頑丈なのでとても労働に適していたということがわかりました。またサスペンダーを付けるためのボタンが両サイドの腰のあたりについており当時のデニムの着方を知れてよかったです。アウトレット商品は染ムラがあるということでとても価格が低くみんなでおそろいのデニムを購入させていただきました。その反面、正直どこに染ムラがあるかもわかろないのにB品になってしまう厳しさも知ることができました藍染め体験では手が真っ青になりながらも楽しく染物をさせていただきました。植物の独特な香りが印象的でした。
 今回の校外学習ではデニムについてたくさん学ぶことができ知識が深まりました。このたびは貴重な体験をさせていただきありがとうございました。

加藤瑛美

 私は、日頃よりジーンズをよく愛用しており、この日を心から楽しみにしていました。
 ジーンズが始まった歴史、日本で生産が始まったきっかけ、日本のジーンズ発祥の地ならではのお話には驚きと発見がたくさんありました。ジーンズ博物館には他では見ることのできない古いミシンや、今では生産されていない機械などが展示されていて、感動しました。特に強く印象に残っているのは、ジーンズをカットするCADシステムの機械です。数枚を重ね合わせた厚みのあるジーンズを、企画通りにカットする光景はとても現代的で、感動しました。また、ミシンによる生産効率をあげるという考えに立った縫製ラインには、長年の経験と工夫がみられました。生産を行う従業員の半数以上は外国人の女性でした。過去には主に中国人女性が多く働いていたそうですが、中国の急激な発展により、近年はベトナムなど東南アジア圏が増えてきているとお聞きしました。ビジネスを勉強する中で、東南アジアは重要なマーケットであると知っていたので、とても興味深いお話でした。
 藍染め体験ではなかなか思うように染まらず、染めの大変さを実感しました。ジーンズ・ストリートではたくさんのジーンズショップに興奮し、日本製の良さを改めて実感しました。時間が限られていたのが残念でしたが、またぜひプライベートで訪れたいと思いました。
 本当にありがとうございました。

石井佳綾

 7月8日に岡山県児島のジーンズ工場(ベティスミス)に行き色々な体験をしました。初めにジーンズのストラップ作りをしました。色んなジーンズの切れ端とボタンを選び機械に乗せて挟むとストラップの完成です。ジーンズのストラップ作りは初めての経験で出来上がりも可愛く家のカギにつけています。次に、ジーンズミュージアムを社員の方に案内してもらいました。100年以上前に労働者のために作られたパンツを再現しているものが大切に保存されていました。
 そのジーンズはベルトやファスナーがなく代わりにすべてボタンがついています。このジーンズを原型として、現在に至っています。すべてのジーンズの原型はこのリーバイス社からうまれたことを知りました。ほかに見学したのは重石を使ってジーンズのグラレーションが作られていたり、すごく大きなジーンズが飾ってあったり、ジーンズの実際着ていた水着のようなものが展示されていたり、どれもすごく可愛く、驚きの連続でした。その後は、初めての藍染め体験をしました。染料の匂いがすごくきつかったです。柄付けの道具にはいろいろな型があり、それを布に挟んで藍染をおこないます。わざと布をたたんだり、くしゃくしゃにしたり、人それぞれの個性で形や色が変わり、出来上がりは綺麗で楽しかったです。私は布を丸めて色をつけました。色がなかなか入らなく何回も染め直しましたが、乾かすためにアイロンをかけると凄く良いものができ、満足しました。その後、工場直営のアウトレット店にいきました。店内には、工場で生産されたジーンズや筆箱、カバンなどが売られていて、私も色落ちだけで、かなり安く素敵なジーンズを購入しました。
 今回、ゼミ活動でしか行くことがない、岡山児島に行くことができ、すごく勉強になりました。普段なにげなく履いているジーンズについて、深く学ぶことができ、貴重な経験になりました。