活動の目的及び取り組む課題

 近年クールジャパンという言葉が日本政府やマスコミで取り上げられ、それに付随するかのように、ファッションやアニメの世界でもホットな話題となり、海外でも非常に人気のあるものとして評価されている現状が存在している。そうした場合に、国内で考えるクールさと、海外で考えるクールさとの間にはどのような違いがあるのか、それをまずは明らかにすることを通して、今後日本が展開しようとするクールジャパン政策について、現場でのマーケティング・リサーチを通じてその方向性を探るのが2つめの課題となる。

活動内容

【活動内容】
(1)クールジャパンについてのマーケティング調査活動
 クールジャパンの本質を知る上で必要となるマーケティング調査(市場調査、消費者アンケート調査、国内での評価と海外商品動向調査)をおこない、課題発見と解決のための対策を考える。
(2)クールジャパンについての研究調査
 クールジャパンについて神戸ファッション美術館での学びを通して、クールジャパンについての本質を探る。
【前期活動のまとめ】
 平山ゼミでは流通学部ゼミナール大会での報告を目標にして、ゼミ生30名を主に3つのテーマに分けて取り組んだ。それはつぎのとおりである。(1)では国産ジーンズ発祥の地、児島にある国内初のウィメンズ・ジーンズのメーカーであるベティスミスを訪問、ジーンズのブランド価値について学んだ。(2)は神戸ファッション美術館でファッション・モードの歴史について講義を受け、そこから見出される各時代の価値の変遷について知識を深めた。(3)においては、ホテル心斎橋ライオンズロックで主に外国人観光客がホテルに何を求めているのかについて、社員の方から説明を受け、特にホテルの顔となっているうさぎ店長の存在も大きく顧客吸引に貢献していることなどが理解した。
【後期活動のまとめ】
 後期ではさらにそれぞれがこれら3つのテーマを深掘りすることで、個人研究を深めた。具体的には学生それぞれが自分自身のテーマを設定し、その問題意識を明確にした上で、パワーポイントを作成した。
  • 神戸ファッション美術館 主席学芸員 浜田久仁雄氏による特別講演会

  • 流通学部ゼミナール大会 「ファッションは時代とともに」 報告の様子

  • ベティスミス工場見学 1枚の布がジーンズのパーツに裁断される様子

  • ホテル心斎橋ライオンズロックのうさぎのヒロシ店長の勇姿

  • 神戸ファッション美術館 見学の様子

代表学生の感想

 わたしが担当した「外国人観光客がホテルに何を求めているのか」については、特に心斎橋で中国人観光客に人気を博している「ホテル心斎橋ライオンズロック」を取材し、担当の山岡様から詳細な説明を受けるとともに、このホテルで人気を博しているうさぎさんのヒロシ店長の活躍ぶりと、心斎橋・難波の中心街にあるゆえの立地の良さに加えて、さまざまな観光客の求めるニーズに的確に対応するということを前面に打ち出しているところがこのホテルの強みだということが深く理解できた。
 流通学部ゼミナール大会ではわたしたちの班はそうしたこのホテルの競争上の優位性について、深く追究できたことで、自分自身の自信にもつながった。
 その後は学生各自がそれぞれのテーマに沿って、個人研究を深めていったのであるが、やはりゼミの指導教員の平山先生が話してくださった、ストーリー構築によるマーケティング戦略にとても惹きつけられた。まさにホテル心斎橋ライオンズロックはうさぎさんのヒロシ店長を題材に、それらを会社として積極的に売り出すことで、訪れた人々の気持ちをつかみ、また周囲のファストファッションのお店や大型雑貨店の存在などの商店立地の充実などで、お互いがwin-winの関係になっていることも大きいと感じた。
 今後は、今回の経験を活かしながら、就職活動にもしっかりと取り組んでいきたい。

流通学部 3年生 河合 洋二

参加学生一覧

今西 舞喜、岩崎 理沙、岩元 瞳、上田 華乃、内海 愛華、梅田 七海、海江田 唯、河合 洋二、北野 友梨、監物 佑哉、志茂 美緒、下村 奈央、杉本 千晶、竹田 彬人、竹本 亜矢、玉井 千聖、中倉 莉瑚、幡山 美月、原 尚之、船間 悠、宮田 丈綱、三好 紘平、森岡 祐馬、安岡 夏汐、矢野 綾菜、山原 克海、吉田 葵、吉田 敬佑、米村 純香、和田 美里

連携団体担当者からのコメント

ホテル心斎橋ライオンズロック 山岡悠史氏

 平山ゼミは大阪で求められるホテルのブランド価値とは何かについてクールジャパンの観点から調査研究しており、今回の活動では主に爆買いに見られる外国人観光客の動向について説明しましたが、その際さまざまな角度からの質問が寄せられ、ビジネスホテルのブランド価値について理解を深めようと、熱心な取組みをされているのがわかりました。当ホテルではチェックアウト時にはうさぎのヒロシくんが支配人として立ち会っていますが、こうした話題性の持つ意味についても、学生の視点から明らかにしようといった態度はとても新鮮でした。今後はさらに外国人観光客の求めるホテルのブランド価値について探究をしていただくことを期待しています。

教員のコメント

流通学部 平山 弘 教授

 前期のマーケティング調査を通じて、さまざまな課題や新たな発見がみつかり、ゼミナール大会ではしっかりと自らのテーマに沿ったプレゼンテーションがおこなわれたと考えている。ゼミでは異例の人数の多さである30名の体制であったが、複数テーマによる複数の班にわけることで、彼らの力が発揮できるよう工夫も凝らしたことは事実として指摘できるであろう。
 個々の作業では、今回の学びの気づきによって、積極的な姿勢ができてきており、就職活動へ向けた取組のスタート時点での反応もすばらしく高かったと考えている。
 最後にご協力いただきました関係のみなさま方に厚く御礼申し上げる次第です。本当に有難うございました。

関連ページ