キャリゼミ2016最終報告 国際コミュニケーション学部 陳ゼミ 2〜3年生

活動の目的及び取り組む課題

 今年の取り組みは二つがある。1、心斎橋における外国人観光客の購買意識の調査と分析。2、大阪南部地区の観光資源の調査及び訪日客に半日観光プランの提案。
 去年「爆買」は年の言葉になるほど、外国人が日本で観光・買い物は社会現象になっている傍らに、「爆買」に対する揶揄、大人数の観光客の集中殺到により、観光資源に対するダメージや地元住民の困惑も表面化してきた。本ゼミは2011年から心斎橋エリアで訪日客の調査を行い、一定のデータを蓄積した。訪日客の動向や現地の声をある程度理解してきた。今年は「爆買」のような観光文化ではなく、より訪日客が日本文化を満喫してもらうための分析データを蓄積しながら、現地社会と融和し、地域の発展にも貢献できる「購買・体験・理解」をキーワードとする旅行の提案ができるかどうかを模索したい。

活動内容

 本ゼミは生の資料は自分の手で獲得して分析を行い、問題の解決策を一緒に考え、座学とフィールドの両方を重視するゼミです。本ゼミは2010年から心斎橋で外国人観光客を対象として購買行為に関するアンケート調査を行ってきました。そのとき、まったく外国人観光客の「爆買い」が流行語になるとは想像もしなかったです。本ゼミは長年同じテーマの調査で、かなりの資料を蓄積してきました。このようなデータをエクセルで統計分析を行い、自分なりの結論に導き、「考え抜く力」を鍛えました。まだ、外国語を使いて訪日客のご協力をお願いするなど「前に踏み出す力」を鍛えました。今年は例年と違い、パンフレットを作ってツアー客に観光コースの情報を提供するだけではなく、特に最後実際自分でネットによる中国人観光客を募集し、実際に案内する、つまり「実行」を意識しました。一回目の挑戦でスムーズに行かないと覚悟した上の挑戦でした。
 今年は以上の作業を完遂した同時に、下級生・ほかのゼミの学生と連携して調査を行う試みもしました。国際観光学部和泉ゼミとの共同勉強会で学生たちは観光の「正しい形」を勉強し、「爆買い」観光の限界を知り、あえて「爆買い」という流行に向かって挑戦し、「日本文化を体験してそして買う」というコンセプトの観光プランを訪日客に提案することをチャレンジしました。ここでは学生は国際観光学部和泉ゼミから受けた啓発が大きいです。最終結果としては、中国の旅行社に先述したコンセプトの旅行プランを提供すると同時に、ホームページやSNSによる将来型の観光集客の実践(ゼミ調査の結果、ほとんどの中国フリー観光客はネット経由で観光プランを組んでいる)をしました。五名を募集したところ、四名の参加者を募ることができました。しかし、SNSはハッカー被害にあうことや応募者による時間変更及び前日のキャンセルなど、最初から悪戦苦闘をしました。当日のキャンセルもまたあって、最後、実際来てくださった観光客はただの一名になりました。2017年2月9日、この大事な一名の中国人観光客をホテルまで出迎え、学生たちが考案した「文化体験型」ツアーを実行しました。計画のとき、私たちは日本の食文化に対する理解を深めるために、まず「食器」というキーワードで難波道具筋商店街を案内し、その次は「食材」をキーワードにして、黒門市場を案内するコースを考え、提案しました。今回はこのコースで中国人観光客を案内しました。道具筋で各種の日本料理用の食器・暖簾・灯篭乃至店の前に置かれているタヌキの置物などをみて、来てくださった観光客の陳さんはとても興味津々、私たちに日本の食文化のことをいろいろ質問しました。また、訪日客は日本の飲食店の店頭にある「食品サンプル」をみてレプリカと知ってびっくり仰天で日本人の手の器用さに感心することは前期の調査でわかりましたので、ツアーに「食品サンプル製作体験」のパーツを入れました。今回の実行のなかで一番歓迎されました。
 しかし、食品サンプル製作時間に関する事前調査不十分や突発事件(製作職人は当日休みをとった)ため、急遽下見のときのところと違う製作教室に行くなど、観光客に事前知らせた二時間半の観光時間をオーバーして、プランの後半の変更をせざるを得ないなどのことも体験しました。
 このような、立案・調査・再立案・提案・集客・実行・反省、私たちは「考え抜く力」・「踏み出す力」・「チームで働く力」を高めたとおもいます。
 これからは、臨時のキャンセルの問題・時間問題・突発事件の応対力など、中国の旅行社のプロの方の意見を参考し、ゼミ生が一丸になってがんばっていきたいとおもいます。

代表学生の感想

 今回、2014年度生の先輩たちが集客しまして、案内のほうは私たち2015年度ゼミ生が行いました。今回の観光案内は道頓堀・道具屋筋商店街・黒門市場・心斎橋筋商店街(南側の一部)の観光を予定しました。中国人観光客と合流し、まず道具屋筋に行きまして、日本の食器文化を紹介し、食品サンプル作成体験をしました。AKB48グッズ専門店など、中国でも人気がある観光スポットのほうも案内しました。黒門市場は時間の関係でお客様の要望よりキャンセルなど、想定外のこともありましたが、最後心斎橋筋商店街の一部を案内して予定より遅れて16:30全コースの観光を終えました。お連れした感想としては、お客様に大阪特有の景観や文化的体験を楽しんでもらえただけではなく、われわれ日本人学生とのコミュニケーションにもかなり満足されていたとおもいます。一方、案内現場で、時間や観光地の調整など、想定外のことが多く、経験を積まないと対処が難しいとわかりました。

国際コミュニケーション学部 2年生 畝森 真潮

 私たちのゼミは、訪日外国人観光客を対象に心斎橋を中心にどのような旅行のニーズがあるのか現場調査アンケート調査票を作成し実際にアンケートを回収、旅行プランを立て外国人観光客にツアーを提供しました。
 まず、2016年4月と5月は調査票作成のための基本的な作り方を学びました。その後、3グループに分かれそれぞれ旅行プランにあった中国語、英語の調査票を作成しました。グループごとに心斎橋へプランの下見へ行き、そして6月から9月までアンケート調査を行いました。このほかに国際観光学部の和泉ゼミと合同で二回の勉強会と下見調査を行いました。観光開発の基本を勉強しました。
 アンケート調査は初めてのフィールドワークでした。一回の調査で目標回収数を突破したゼミもあれば、うまくいかず何度か心斎橋に行きアンケートを取ったゼミもあり、とても苦戦しました。各グループで協力し合いながら働き目標を達成させる喜びを感じました。
 アンケートの結果を調査報告書の形にして中国信博旅行社に送りました。社長さんのコメントを読んで喜びのかたわらに、ツアープラン実行のときの困難を知り、不安でした。ツアープランを完成したのは2017年1月10日でした。プランをホームページに載せてSNSによる集客をしましたが、中国のSNSのハッカー被害などのアクシデントもありましたが、5名のツアー定員を募集したところ、四名の参加者を募りました。2月11日の企画でしたが、参加者の都合で2月9日に急遽変更して、対応策を考えるのはたいへんでした。このゼミを通し「考え抜く力」、「踏み出す力」、「チームで働く力」をつけました。

国際コミュニケーション学部 3年 新幸 なる美

参加学生一覧

朝比奈 綾香、有田 早希、石垣 美奈、大野 結香、北尻 翔太、清 優香、清水 理沙、惣内 友美、田中 愛里沙、永田 功樹、永野 和穂、新幸 なる美、新田 理紗、新妻 涼、森下 尚子、WANG YAO、井端 綾乃、岩田 沙也加、畝森 真潮、梅原 大輝、大木 風香、鈴木 彩華、中野 紗希、西岡 里奈、野内 健太郎、蛭間 ゆみこ、的場 直希、山内 亜依、吉田 来深

連携団体担当者からのコメント

中国信博国際旅行社  倪喜学氏

学生のみなさんの健闘について、以下のようにコメントさせていただきます。
1、中国語ができる人が少ない・募集期間が短い・中国観光客のオフシーズンのような悪条件のなかで、学生の皆さんはインターネットを使って四名の参加者を募ることができて、ほんとによくがんばりました。おめでとうございます。
2、参加者によるキャンセルは中国人観光客の「特徴」の一つだとおもいます。多くの中国人観光客は長く準備して旅をするのではなく、すぐ決めてすぐ出発しようとする人が多いため、簡単に決めて簡単にキャンセルする人が多い理由だとおもいます。
3、今回のプランの足りないところを言いますと、はやり(設定した観光時間に対して)遊覧内容が多すぎるのではないかと思います。中国人観光客(主にフリー旅行のお客様)に対しては(観光のとき大事なのは)、第一は買い物、第二はグルメ、第三は体験、第四は宿泊(施設)、第五は写真撮影、第六は景観を楽しむこととガイドの案内の内容になるとおもいます。
以上、手短いですが、私のコメントにさせていただきます。

教員のコメント

国際コミュニケーション学部 陳 力 教授

 指導教員の私の専門は史学ということで、本ゼミは「資料」の扱い方を勉強するゼミです。「資料」に関する学問、もしくは「史料」というほうがいいかもしれませんが、実は私は「今」という時点の前の資料は全部「史料」だと思っています。多くの学生が勉強したいのは社会人になってから仕事に役立つ学問です。実は「史学」的な訓練は現実社会で十分使える力を伸ばすことができるとおもいます。学生の将来の勤め先のこれまでの会議録や営業資料、ないし『日本経済新聞』などの記事、いずれも資料です。さまざまな資料を比較し、表面的な内容の下に隠された真実を抉り出せたら、仕事内容の核心がわかるとおもいます。
 今年度、一番成果を挙げたところはやはり、ゼミ生の力で、ただ一名だけですが、インターネットによる集客を実戦したことだとおもいます。他学部ゼミとの連携及び三回生と二回生の連携もスムーズでよかったと思います。これからさらにかんばってもらわなければならないのは語学力・チーム内の役割分担だとおもいます。来年度また今年の経験を踏まえ、一緒にがんばっていきたいとおもいます。

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