活動の目的及び取り組む課題

 現在日本の観光の振興を考える中で、従来の有名大型観光地の発展だけでなく、地域が主体となり地域資源を活かして観光を推進していくことが求められている。清水ゼミでは2011年度より南大阪地域で「観光を利用した地域活性化」をテーマに、松原市、河内長野市、和泉市、貝塚市の行政や企業と共同研究を行い、その成果を南大阪地域大学コンソーシアムが主催するプロジェクト「南大阪の歩き方」でその成果を残してきた。今年度は大阪市中央区船場地区を対象として、地域主導型の観光マーケティング戦略の研究を行う。船場地区では近年、地域資源である近代建築を利用した地域の魅力向上に注力している。
 また2014年に「船場まちづくり宣言」を発表し、船場の歴史・文化を活かしながら、賑わいを創造し、船場スタイルの確立を目指しているが、観光の視点が弱く、ブランド力に欠けるといわれている。現在26のまちづくり団体が活動を行う中で、そのプラットフォームとなっている船場倶楽部、船場げんきの会と協働し、観光という視点で船場地域の課題について、特にどのように情報発信をおこなうのか、PRに関するマーケティングに取り組むことを目的とする。以上のように、地域まちづくり団体と協働することにより、社会人基礎力を養い、強化する。

活動内容

以下の研究を行った。
① 船場に関する基礎知識の習得:船場の情報発信刊行物、まちづくり団体のウェブサイト,文献など先行研究を調査
② 船場げんきの会の事務局長、各担当者とのミーティング。(約2ヶ月1回程度)
③ 情報発信を行っている企業、店舗などの現地調査とヒアリング調査を行う。
④ 船場のイベントでのサポート、アンケート調査(アンケート調査---船場まつり、イベントボランティア活動---生きた建築ミュージアムフェスティバル2016、船場フォーラム2017)
⑤ 船場地区の宿泊施設へのヒアリング調査
⑥ 船場げんきの会への中間報告(7月、10月)
⑦ NPO観光力推進ネットワークの学生研究発表会にて研究発表(2017.2.8)。 
⑧ 南大阪地域大学コンソーシアムのプロジェクト「南大阪の歩き方」で報告書を作成
⑨ 共同研究の集大成として、2017.3.16に船場地域の企業、住民、地域活動団体、大阪市の行政ら約40名の参加の元、船場にある企業の会議室にて「学生から見た船場の魅力のPRについて」提案を行い、評価をいただいた。

南大阪地域大学コンソーシアム Webサイト内 プロジェクト「南大阪の歩き方」ページ

代表学生の感想

 清水ゼミ二回生の活動は主に大阪府大阪市の船場の地域活性化でした。研究のやり方が何も分からないところからのスタートでした。約9ヶ月の活動の中で、まず地域について知ることや船場の方からの話を聞くことから始めました。そして現地に出向き、自分たち自身で見て、感じて、魅力を発見し、そしてPRの方法を考えました。最後にはこの研究の集大成を船場地域の方々に発表し、意見をいただけたことはとても大きな経験となりました。主に船場のマップの作成、オープンスペースの活用法、船場のガイドブックをよりいいものにするための提案を行いましたが、提案をより良いものにするために何度も足を運び、ヒアリング調査や現在のガイドブックの分析など時間が限られている中で様々な調査を行いました。船場の方に私たちの考えや、新たな発見をしていただくための方法を考えることは難しかったですが、発表を評価していただけた時は達成感に溢れて努力を感じ取ってもらえた瞬間でとても感動しました。

国際観光学部 2年生 久保田 知紗

参加学生一覧

芥川 祐貴、浅利 さくら、安藤 沙也花、伊藤 大樹、北内 里奈、久保田 知紗、世良 明日香、沼本 舞果、文元 小波、松枝 湧也、溝渕 友珠夏、吉田 桃子、米木 愛未、和田 知樹

連携団体担当者からのコメント

船場げんきの会 日比 哲夫氏

 ゼミの研究発表、わかりやすく、“力作”でした。船場のイベントにも参加いただき、また、ヒアリング調査等で、船場に何回も足を運んでいただいたご努力に感謝しております。
 ご提案いただいたご意見やアイデア等は、できるものから順次、実行してまいりたいと思います。なお、今回の研究発表で、「船場」という名前は、やはりあまり知られていないことや、お店の名前が、“横文字”が多いなど、PRのための、原点に関わる課題を指摘いただき参考になりました。

教員のコメント

国際観光学部 清水 苗穂子 教授

 2年生にもかかわらず地域マーケティングという難しい課題を設定しましたが、この数ヶ月で学生たちは目覚しい成長を遂げました。大阪の船場地域のPRをいかに行うかを目的としましたが、最初は何から始めたらよいかわからない状態で全員が戸惑っていました。そこでまずは地域に関するチラシ、イベント、地図などの資料収集、ウェブサイトからの情報収集を行い、ある程度の知識を持ってから現地調査を何度も実施しました。さらに地域のことを深く知るために「生きた建築ミュージアムフェスティバル2016」、「船場フォーラム2017」にもボランティアとして参加しました。地域の方へのヒアリング調査、イベントでのアンケート調査、パワーポイントを作成しての2度の中間報告経て、たくさんの地域の方に参加していただき、最終報告会を開催、良い評価をいただくことができました。

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