活動の目的及び取り組む課題

 本学建物の照明は、一部の新しい建物(50周年記念館、ハルカスキャンパス)を除きLED化が進んでいない。大学という公共性の高い組織としてはCSR向上のためにも省エネ化を推進するべきと考えるが、年間点灯時間が短いため初期投資コストをなかなか回収できず、建物についてはLED化が進んでいないのが実態である。この状況は本学以外でも同様であり、全般的にLED化があまり進んでいない。一方で省エネ法により2020年を目処に全てLED化しなければならなくなる可能性があり、残された時間は意外に短い。
 本活動では株式会社カネヒロデンシのご協力のもと、大学がLED照明化実現のための課題を克服する方法を学生が検討・提案し、カネヒロデンシに提言する。また、LED照明化の推進を通じ、本学のCSR向上及び消費電力低減・地球温暖化防止に貢献する。また、本学建物でシミュレーションの手法を確立し、学外の施設に対しても同様の提案を行う。

活動内容

 1年間を通し、LED照明の本学への導入推進を第一優先に活動しました。活動の内容としては、最も古くから使われている8号館を対象に、蛍光灯の個数を1つずつ数えるところからのスタートでした。教室の規模や蛍光灯の基盤の錆び1つ1つを丁寧に調べ、その上でLED照明導入による初期投資と電気代を中心とするランニングコスト低減を計算し、何年で初期投資を回収できるかのシミュレーションを行いました。その後、施設課への提案を行いましたが、予算の都合もあり、私たちの思い描いていたペースで進めることができませんでした。そのため、ターゲットを少し変更し、かねてよりLED照明の導入を考えていた大学生協と、大阪府阿倍野区にある王子商店街への提案を行いました。両方ともに興味を持っていただき、真摯にお話を聞いていただけましたが、実際に導入するには至りませんでした。そして本年度の締めとして、再度施設課への提案を行いました。最終的にLED照明、照明器具、工事費用等の「初期投資」と、メンテナンス費用等の「ランニングコスト低減」をシミュレーションした結果については、丁寧に説明を行った結果、理解を得ることが出来ました。また、保証年度の変更や、LED照明のレンタルなど以前に行った提案以上に、具体的な提案が行えたと自負しています。結果的に本学施設課はまず近いうちに1つの教室で試験導入を考えたいと話されていました。
 この学年は3月で卒業してしまいますが、最終的な目標であった、他大学への導入提案まで進めることはできませんでした。しかし、少なくとも本学へのLED照明の導入を「促進」することができたと考えています。このLED照明の導入提案は三木ゼミの後輩に継承されますが、活動内容としては非常にレベルが高い分、やりがいの持てる内容であると思います。後輩たちには、この学年が成しえなかった最終目標である他大学へのLED照明の導入提案を進めるために、私たち以上の導入提案を行ってもらいたいと思います。

代表学生の感想

 私たちは本年度の活動として、LED照明の導入提案を中心に行いました。目標である他大学への提案まできちんとこなすつもりで臨みましたが、就職活動により活動スピードが緩やかであったことに加え、本学の予算の都合により思ったように進みませんでした。しかし、このLED照明の導入提案は、私たちにとって非常に価値のある活動であったと考えます。
 まず、蛍光灯の本数を1つずつ数えることや、照明器具の錆び具合を確認することは手間がかかりましたが、普段気に掛けることのない部分に着目でき、非常に貴重な体験でした。また、本学施設課だけでなく、大学生協と大阪府阿倍野区の王子商店街にも提案を行ったことで、自分たちより年配の方へ説明する力が付いたのではないかと実感しています。
 内容的に一筋縄ではいかないものではありますが、今後の展開は三木ゼミ生の後輩に託し、本学へのLED照明の導入に加え、他大学への導入提案まできちんと行えるように引継ぎを行いたいと思います。

経済学部 4年 松本 光司

参加学生一覧

松本 光司、李 章徳

連携団体担当者からのコメント

株式会社カネヒロデンシ 倉知 一哉氏

 1年間の活動、大変お疲れ様でした。施設課さんへの提案を通じて、貴校の照明LED化促進の引き金になったと感じています。LED照明の導入はすぐに効果が表れる非常に実践的な省エネ活動です。
またパナソニックさん東芝さん等大手照明メーカーさんも蛍光灯器具の製造中止を宣言されています。
 貴校のいち早い取り組みが「省エネという社会貢献」、「地域社会へのアピール」という目標の達成につながり、阪神地区の大学のトップランナーとなるべくゼミの後輩の方達にバトンを引き継いでくれることを願っています。当社としても(当社LED照明をご採用いただけるかどうかは別として)、貴校において近い将来のLED化の試行あるいは本格導入が行われることを願っており、そのためのご支援は年度が変わっても継続させていただきたいと考えております。

教員のコメント

経済学部 三木 隆弘 教授

 1年間の活動お疲れ様でした。本学施設課へのプレゼンテーションの効果もあって、1つの教室に試験導入するという方針にまでは早めにこぎつけたのですが、夏の猛暑のため空調の修理に費用がかかり、試験導入する予算がなくなってしまったため、2016年度中に試験導入を実施するところまでは至りませんでした。導入実績がないため、導入手法の確立や他大学への横展開には至らなかったことは残念ですが、今回の活動を通じ、少なくとも本学の照明LED化は促進できたと考えます。また、カネヒロデンシ様には、大学への導入にあたって考慮すべき点や克服すべき点の提示はできたとも考えます。この活動は、今年度で終わらせることなく、三木ゼミの後輩に引き継いでいきたいと思います。

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