国際観光学部 李ゼミ 競争力のある観光事業の発展による地域貢献 〜サービス・マネジメントの視点から〜

 ゼミ活動では「競争力のある観光事業の発展による地域貢献」をテーマに、サービス・マネジメントの視点から、日韓観光関連企業等が抱えている経営上の課題や課題解決について活動を行った。サービスとは、顧客のニーズに合わせて提供する一連の活動であるといえる。したがって、それぞれ異なったニーズを持つ顧客に対して適切なサービスを提供していく必要がある。さらに今日、顧客の旅行目的の多様化により、それぞれの顧客が事業体(企業等)に期待するサービスも画一的なサービスではなく、それぞれの顧客ニーズにマッチするようなサービスが求められている。
 そこで、キャリアゼミでは、まず、書籍など、文献調査を通じてホテルサービスのあり方について理解を深めた上で、日・韓のいくつかのシティホテルやビジネスホテルの口コミサイトの内容を調査・分析し、日韓のホテル市場において顧客が求めるサービスにはどのような共通点や相違点があるのか、それぞれの企業等がターゲットとする顧客が満足する「よいサービス」とはどのようなサービスなのかについて考察した。その考察結果については「顧客が求めるホテルサービス」と題して第5回東北亜観光学会、国際大学生大会の論文集に投稿を行った。
 そして、その研究成果をもとに、「福井県あわら市観光協会」、「ホテル清風荘」と共に、産官学プロジェクトを行った。具体的には、「清風荘」についての顧客口コミ内容を「大江戸温泉物語あわら」の口コミ内容と並行して調査・分析し、「清風荘」の強みや改善点を明らかにしたうえで、今後、「清風荘」がより多くの顧客を集客するためにはどのような取り組みが求められるのかについての提案である。
 一方、「大阪千早赤坂村」との訪日韓国人観光客誘致に関わる産官学プロジェクトにも参加し、観光客が求める旅行ニーズを分析・調査し、韓国大手旅行会社である「ハナツアー」に旅行商品の提案を行った。
 その他、「日航ホテル関空」が募集する大学・短大・専門学生が作るユニークな「旅プラン」の募集に応募し、訪日台湾人観光客と訪日中国人観光客をターゲットに関西空港に立地するホテルの特徴を活かしたツアープランを企画した。

参加学生一覧

上原和樹、高橋由季絵、岩根みのり、宇高正規、大西杏香、佐竹優也、佐藤舞、花房良太、日浦久実、松田花織

学生の感想

国際観光学部 佐竹 優也

 私たち李ゼミは、ホテルサービスの品質を上げる方法を考えること、また、地域と協力し、インバウンド観光客を呼ぶための取り組みを行っています。具体的な活動は、芦原温泉にある清風荘に対し、宿泊する顧客がより喜ぶサービスについて提案することと、大阪府に位置する千早赤阪村と協力し、韓国人の観光客をターゲットに癒しをテーマとするツアープランを韓国大手旅行会社に提案しました。活動を通じて、ホテルサービスを学び、テーマやターゲットに沿って考え、企画・提案する力が付きました。また、活動で感じたことは、ゼミのメンバー全員で一つのものを作り上げることの難しさです。各々意見を出しながら行うという作業は、上手くいかないこともありました。しかし、みんなで作り上げたことによる喜びや達成感を感じられたことや、人の前に立ち発表を重ねることによって、伝えやすい話し方も身に付き、キャリアゼミ活動を通じて得たものが多いと実感しています。

教員のコメント

国際観光学部 李 貞順 准教授

 本キャリアゼミでは、「競争力のある観光事業の発展による地域貢献」をテーマに、観光関連企業等が抱えている経営上の課題解決に向けてサービス・マネジメントの視点から活動を展開してきた。具体的な活動としては、①あわら市の清風荘においてサービス提供に関する課題や改善策の提案、②地元でもある大阪府千早赤阪村での訪日韓国人観光客誘致に向けての旅行商品企画提案であった。それぞれの活動に当たっては、李ゼミ単独で実施した活動は勿論のこと、学内他ゼミとの合同ゼミ活動も行った。このような活動を通じて、サービス・マネジメントの第一歩であるサービスとはどのようなものなのかというサービスの基本的概念の理解が深まった。また、それぞれの課題について、分析や検討、課題解決に向けて新たな提案といった一連のキャリアゼミ活動を通じて、チームで取り組むことによるコミュニケーション能力の開発にも大いに役立ったのではないだろうか。今後の就職活動にとっても大きなメリットとなり、卒業後、就職先での即戦力にもつながるのではないかと考える。